風俗営業


風俗営業

【風俗業とは】

 一般的に風俗営業というと性風俗店などを思い浮かべますが、法律では(「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」)風俗営業と性風俗営業と2つに分かれています。
ここでは、風俗営業について説明します。

 風俗営業は、次の通り8つに分類されています。

◇第1号営業
(主な業種) キャバレー
(概  要) キャバレーその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客の接待をして客に飲食をさせる営業
◇第2号営業
(主な業種) 料亭、料理店、待合等の和風の営業、クラブ、パブスナック等和風以外の営業
(概  要) 待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
◇第3号営業
(主な業種) ダンス飲食店
(概  要) ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(第1号に該当する営業を除く。)
◇第4号営業
(主な業種) ダンスホール等
(概  要) ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業(第1号若しくは前号に該当する営業又は客にダンスを教授するための営業のうちダンスを教授する者(政令で定めるダンスの教授に関する講習を受けその課程を修了した者その他ダンスを正規に教授する能力を有する者として政令で定める者に限る。)が客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業を除く。)
◇第5号営業
(主な業種) 低照度飲食店
(概  要) 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計った客席における照度を10ルクス以下として営むもの(第1号から第3号までに掲げる営業として営むものを除く。)
◇第6号営業
(主な業種) 区画席飲食店
(概  要) 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
◇第7号営業
(主な業種) マージャン店、パチンコ店、射的等
(概  要) マージャン屋、パチンコ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
◇第8号営業
(主な業種) ゲームセンター等
(概  要) スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

 

【風俗営業許可の要件】

風俗営業を営む場合は都道府県公安委員会の許可が必要です。 そして、風俗営業許可を申請するためには、以下の3つの要件を満たしている必要があります。

1,人の用件

風俗営業許可を申請する方、または管理者になられる方が、一定の事由に該当する場合は、風俗営業許可を申請することができません。

<<風俗営業の許可を受けられない人>>

  1. 成年被後見人もしくは被保佐人又は破産者で復権を得ていない人
  2. 1年以上の懲役もしくは禁錮の刑に処せられ、又は無許可風俗営業、刑法の猥せつの罪、売春防止法、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律、職業安定法、出入国管理及び難民認定法、労働基準法、児童福祉法違反で1年未満の懲役もしくは罰金の刑に処せられて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない人
  3. 集団的に又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれのある人
  4. アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
  5. 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない人
  6. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者
  7. 法人の役員(取締役・監査役)で上記1〜5までに掲げる事項に該当する人

 

2,構造に関する要件

客室・店の中の構造・設備・内装に関する規格で、風俗営業の種類(1号営業〜8号営業)によって、細かく要件が定められています。

<<第1号営業・第3号営業>>

  1. 客室の床面積は、1室66u以上(ダンスをさせるための客室の部分の床面積がその5分の1以上)であること。
  2. 客室の内部が外部から容易に見通すことが出来ないものであること。
  3. 客室の内部に見通しを妨げる設備(高さ1m以上の仕切り、つい立てカーテン、背の高いイス)等を設けないこと。
  4. 善良の風俗等を害するおそれのある写真、広告物、装飾等の設備を設けないこと。
  5. 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと(営業所外に直接通じるものを除く)。
  6. 営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
  7. 騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。(しかし、音響設備を設けないため特に騒音が発しない場合や建物の壁が厚いこと、営業所の境界地まで相当な距離があること等により外部に音が漏れない場合は義務付けられてはいない。)

 

<<第2号営業>>

  1. 客室の床面積は、1室9.5u以上、ただし待合については2室以上。その他のものについては、1室16.5u以上であること。(客室の数が1室のみの場合は、これらの数値に満たない場合でもよい。)
  2. 客室の内部が外部から容易に見通すことが出来ないものであること。
  3. 客室の内部に見通しを妨げる設備(高さ1m以上の仕切り、つい立てカーテン、背の高いイス)等を設けないこと。
  4. 善良の風俗等を害するおそれのある写真、広告物、装飾等の設備を設けないこと。
  5. 客室の出入口(営業所外に直接通じるものを除く)に施錠の設備を設けないこと。
  6. 営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
  7. 騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。(しかし、音響設備を設けないため特に騒音が発しない場合や建物の壁が厚いこと、営業所の境界地まで相当な距離があること等により外部に音が漏れない場合は義務付けられてはいない。)
  8. ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと。

 

<<第4号営業>>

  1. 客室の床面積は、1室66u以上(ダンスをさせるための営業所の部分)であること。
  2. 客室の内部が外部から容易に見通すことが出来ないものであること。
  3. 客室の内部に見通しを妨げる設備(高さ1m以上の仕切り、つい立てカーテン、背の高いイス)等を設けないこと。
  4. 善良の風俗等を害するおそれのある写真、広告物、装飾等の設備を設けないこと。
  5. 客室の出入口(営業所外に直接通じるものを除く)に施錠の設備を設けないこと。
  6. 営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
  7. 騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。(しかし、音響設備を設けないため特に騒音が発しない場合や建物の壁が厚いこと、営業所の境界地まで相当な距離があること等により外部に音が漏れない場合は義務付けられてはいない。)

 

<<第5号営業>>

  1. 客室の床面積は、1室5u以上であること。
  2. 客室の内部が外部から容易に見通すことが出来ないものであること。
  3. 客室の内部に見通しを妨げる設備(高さ1m以上の仕切り、つい立てカーテン、背の高いイス)等を設けないこと。
  4. 善良の風俗等を害するおそれのある写真、広告物、装飾等の設備を設けないこと。
  5. 客室の出入口(営業所外に直接通じるものを除く)に施錠の設備を設けないこと。
  6. 営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
  7. 騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。(しかし、音響設備を設けないため特に騒音が発しない場合や建物の壁が厚いこと、営業所の境界地まで相当な距離があること等により外部に音が漏れない場合は義務付けられてはいない。)
  8. ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと。

 

<<第6号営業>>

  1. 客室の内部が外部から容易に見通すことが出来ないものであること。
  2. 善良の風俗等を害するおそれのある写真、広告物、装飾等の設備を設けないこと。
  3. 客室の出入口(営業所外に直接通じるものを除く)に施錠の設備を設けないこと。
  4. 営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
  5. 騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。(しかし、音響設備を設けないため特に騒音が発しない場合や建物の壁が厚いこと、営業所の境界地まで相当な距離があること等により外部に音が漏れない場合は義務付けられてはいない。)
  6. ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと。
  7. 長イス等を設けないこと。

 

<<第7号営業・第8号営業>>

  1. 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと
  2. 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと
  3. 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと
  4. 営業所内の照度(照明によって照らされた場所の明るさのこと)が10ルクス(照度の単位)以下とならないような構造、設備が整っていること
  5. 騒音又は振動の数値が都道府県の条例で定める数値に達しないような構造、設備が整っていること
  6. 営業のためにつかう遊技機(パチンコ台等)以外の遊技設備を設けないこと
  7. 営業所内のお客さんの見えやすい場所に商品を提供する設備を設けること

 

3,場所の要件

風俗営業ができる場所には制限があります。条例で、風俗営業を行うことを禁止している地域があります。 大まかにいうと以下の2つの条件で規制されます。

(1)都市計画法の用途地域による規制 (2)保護対象施設からの距離による規制
↓
(1)及び(2)の両方の規制をクリアする事が必要です

(1) 都市計画法の用途地域による規制

(原則として営業が不可能な地域) (原則として営業が可能な地域)
  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域 ※
  • 第二種住居地域 ※
  • 準住居地域 ※
  • 商業地域
  • 近隣商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域
  • その他、用途が指定されていない地域

※保護対象施設からの距離による規制が有ります。

※例外有ります。

(2) 保護対象施設からの距離による規制

 特定の施設を保護する目的から、一定の規制距離の内側では営業できません。
規制距離は種類・用途地域により異なります。

(保護対象施設)

学校 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園
福祉施設 助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センター
病院 20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの
診療所 8人以上の患者を入院させるための施設を有するもの

 

【その他】

風俗営業許可と併せて

  • 飲食店営業許可申請(お店でお客さんに飲食をさせる場合は、風俗営業許可に加えて飲食店営業許可を申請する必要があります。)
  • 深夜酒類提供飲食店の許可申請(風俗営業は、午前0時以降は営業してはいけないことになっています。そこで、深夜にお客さんに飲食させたい場合は、深夜酒類提供飲食店の許可を申請する必要があります。)

が必要となる場合があります。

 

【申請について】

 上記のように申請にはかなり複雑で面倒な手続きと資料作成が必要とされます。資料の中には営業所の平面図、照明・防音設備図面の作成など専門的な知識・技術を要する書類もあり、また、警察署との事前打ち合わせも必要となります。
  (もちろんご自身で行うことも可能ですが)申請は専門家に任せ、ご自身は開業準備に専念なさるのが賢明と思われます。

(さらに詳しく知りたい方はこちら→http://www.tokyo-gyosei.or.jp/business/licenses-entertainment/index.html

 

行政書士に業務を依頼することを検討されている方は→連絡先


東京都行政書士会 多摩西部支部 お問合せ先はこちらへ